日本の正月、お盆のような昔ながらの伝統的なイベントを韓国では名節(ミョンジョル)と言います。
この記事では、韓国の最大のミョンジョルのひとつである「추석 (秋夕/チュソク)」について詳しくご紹介します。
「추석 (秋夕 チュソク)」とは?
「추석 (秋夕 チュソク)」は、旧暦の8月15日のことで、風作を祈り、満月を迎える韓国の伝統的な大名節の一つです。
西暦だと時期は大体9月〜10月あたりですね。
チュソクの別の呼び方
チュソクは「한가위 ハンガウィ」とも呼ばれますが、「한 ハン」は「大きい」、「가위 カウィ」は「真ん中」という意味です。
チュソクに行うこと
チュソクの当日前後1日ずつ、合わせて3日が祝日で連休になるので、日本のお盆のように家族や親戚がみんな集まります。
チュソクの当日になると、早朝から祭礼を行います。
新米で炊いたご飯、新米で作ったお酒、そして新しい穀物で作った「송편 ソンピョン」と呼ばれる餃子に似た形をしたお餅を供えます。
秋の収穫を終えると、まずは新米や穀物を祭礼で先祖に捧げ、祭礼が終わると供え物を家族全員で分かち合います。
朝食を終えると、みんなお墓参りに行きますが、チュソクの前に事前に墓の草刈りをしておきます。
草刈りを行わない墓は、子孫がいない、または不孝な子孫が先祖の墓の手入れをしていないのだとみなされるからです。
チュソクの月見
チュソクの当日は日本でも満月を眺めるお月見の日なのですが、韓国でも「달맞이 タルマジ」と言って
夜、美しい満月を見上げながら願いことをする風習があります。
チュソクのミンソンノリ
「민속놀이 (ミンソンノリ)」とは、伝統的な遊びのことです。
チュソクに行う主なミンソンノリには、「강강술래 カンガンスルレ」「씨름 シルム」「줄다리기 綱引き」「가마싸움 駕篭戦」などがありました。
一つづつ詳しくみていきます。
강강술래 カンガンスルレ
「강강술래 カンガンスルレ」は、チュソクの代表的な女性の遊びです。
数十人ほどの女性たちが満月の夜に手を繋ぎ、みんなで円を描きながら周り踊ります。
遊びの構成は、遅いカンガンスルレ、中カンガンスルレ、速いカンガンスルレに分かれ、「カンガンスルレ」というフレーズを繰り返しながら踊ります。
씨름 シルム
「씨름 シルム」は、日本の相撲のような力比べの遊びです。
子どもたちは子ども同士で、大人たちは大人は大人同士でシルムをするのですが、勝者は「장사(チャンサ/力士)と呼ばれ、麻布や米、または子牛が商品として与えられました。
줄다리기 綱引き
「줄다리기 綱引き」は、男女共に参加し、太い綱を二つのチームに別れて引っ張り合いながら勝敗を競う競技です。
가마싸움 駕篭戦
「가마싸움 駕篭戦」は、昔の韓国の「서당ソダン」と呼ばれる学校の学童の中から代表を選んで、駕篭を作り、戦う競技です。駕篭同士をぶつけたり、足で蹴ったりしながら相手の駕籠を壊したり、相手の旗を取ろうとします。
勝ったチームは旗を高く掲げて村中を堂々と誇らしげに歩いていたそうです。
韓国の「チュソク」と日本の「お盆」の違いは?
それでは「韓国のお盆」とも呼ばれるチュソクは、日本の「お盆」とどのような違いがあるのでしょうか?
時期
お盆:多くの地域で8月13日〜16日(一部の地域では7月)
チュソク:旧暦8月15日(3日間)
日本のお盆は祝日(カレンダーの赤)ではありませんが、韓国のチュソクは3日間祝日になっています。
起源
お盆:仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)と日本の先祖供養の習慣が融合したもの。
チュソク:古代朝鮮の農耕文化に由来する収穫祭。
主な活動
お盆:先祖の霊を迎え、供養し、送る儀式、墓参り。
チュソク:祭礼、墓参り、伝統的な遊び、特別な食事(ソンピョンなど)
文化的意義
お盆:先祖供養に重点を置く宗教的要素が強い。
チュソク:家族の絆を深め、収穫を祝う祭り的要素が強い。
なぜお盆休みは祝日ではない?
最後に、外国人の私からして、なぜ日本のお盆休みは祝日として定められていないのかが気になって少し調べてみました。
- 宗教的な行事だから:お盆は仏教の行事であり、特定の宗教に基づく行事を国の祝日とすることは避けられているそうです。
- 地域・時期の違いで:お盆の時期は地域によって異なることがあるため、全国一律の祝日として定めるのは難しいそうです。
- 企業や団体の自主的な判断:多くの企業や団体が自主的にお盆休みを設定しているため、法律で定める必要性があまりないそうです。
韓国のもう一つの名節であるソルラルについてもご紹介しております。
他にも韓国の文化についてご紹介しております。
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